2023年度 第76回 児童生徒生物研究発表大会の開催

第76回 児童生徒生物研究発表大会 プログラム

(第515例会)

日時 2023年11月19日〔日曜日〕9時~16時30分

場所 千葉県立中央博物館講堂

主催 千葉県生物学会

後援 千葉県教育委員会・千葉市教育委員会

 

  9:20  開会の挨拶、午前の部の説明

1. 9:30~9:45 千城台野鳥観察園のサギコロニーでのサギ類の繁殖観察記録

   千葉市立轟町小学校 6年 野々村 圭一郎

2. 9:46~10:01 カボチャのひみつ パートⅢ ~発芽の不思議~

   千葉市立小倉小学校 5年 田邉 梨奈

3. 10:02~10:17 オシロイバナの赤色の出現について パート2 トランスポゾン

   千葉市立小中台中学校 2年 高橋 柚菜

4. 10:18~10:33 我が校にビオトープを!!

   八千代市立萱田中学校 1年 佐々原 智也

 

         (休憩 ~10:45まで)

 

5. 10:45~11:00 ダンゴムシのジグザグ歩行に関する研究

   千葉市立緑町中学校 1年 佐藤 照真

6. 11:01~11:16 小さくてもあきらめない植物たち~矮化という戦術~

   千葉市立緑町中学校 2年 小橋 里菜

7. 11:17~11:32 市川学園で採取したスズメバチの巣について

   市川学園 生物部 1年 渡辺 博彰・牧野 陽真・清水 康輔・柳田 紗良   

8. 11:33~11:48 セミと植物の関係について

   市川学園 生物部 2年 遠山 敬梧・篠田 蒼士・高野 ひなた

9. 11:49~12:04 カナヘビのかんさつ日記 パート2

   千葉市立桜木小学校 2年 浜本 佳吾

 

     (午前の部の表彰と講評~12:20 昼休み13:30まで)

 

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10. 13:30~13:45 ダンゴムシの触角と目の役割

   千葉県立市原八幡高等学校 理科部 1年 東 遥登・飯塚 大智

11. 13:46~14:01 昆虫の食性調査

   千葉県立市原八幡高等学校 理科部 2年 中山 智稔・薮下 建営

12. 14:02~14:17 糞中コルチゾール値を用いたウサギのストレス評価

   千葉市立千葉高等学校 生物部 2年 上野 春花・萩野 奏大

 

     (休憩 ~14:30まで) 

 

13. 14:30~14:45 生物の活動時間帯の秘密について

   千葉市立緑が丘中学校 1年 齊藤 青葉

14. 14:46~15:01 アマモ復活への挑戦 Ⅱ~結成! チームあわわ~

   千葉県立安房高等学校 生物部 1年 鈴木 陽仁・石井 南十 2年 鈴木 雄大・山﨑 琉海

15. 15:02~15:17 安房地域におけるサシバの生息状況調査

   千葉県立安房高等学校 生物部 2年 小澤 咲希 1年 安田 朔弥・瀧口優衣

16. 15:18~15:33 特定外来生物ナガエツルノゲイトウの柏市大堀川への侵入状況について

   千葉県立柏中央高等学校 科学部 2年 小松 怜太郎

 

   (午後の部の表彰と講評  ~15:45まで  その後片づけをして解散)

 

第76回 児童生徒生物研究発表大会 要旨(2023.11.19)

1.千城台野鳥観察園のサギコロニーでのサギ類の繁殖観察記録

 千葉市立轟町小学校 6年 野々村 圭一郎

 

 千城台野鳥観察園で2022年10月23日~2023年7月31日の間、コロニーを形成して繁殖活動を行うサギ類を観察した。観察は週1回程度、15時−18時に観察されるサギの種類・個体数をカウントした。千城台野鳥観察園では最も早く飛来して繁殖するアオサギ、繁殖でかえる雛が多いダイサギ、繁殖をしないホシゴイが多く幼鳥が少ないゴイサギの3種類がコロニーを形成しており、それぞれ繁殖する場所、休憩する場所に好みがあるようだった。3種の成長過程は同じだが、アオサギはチュウサギの成鳥ほどの大きさになっても巣に残り、ゴイサギは卵からかえって2〜3週間で巣の外に出始め、幼鳥だけの集団を作っていることから、種により幼鳥の成長の速さは異なっているようだ。

 千城台野鳥観察園は、独特の地形により天敵からも襲われにくく、サギ同士の糞尿によるトラブルも防げる。また巣材集めにも適していて、サギの繁殖に適した場所であることが分かった。

 

 

2.「カボチャのひみつパートⅢ」ー発芽の不思議ー

 千葉市立小倉小学校 5年 田邉 梨奈

 

 5年生の理科の授業で,発芽について勉強をした。種子が発芽するためには,「水」・「空気」・「発芽に適した温度」の3つの条件が必要であることを学習した。
 発芽の3つの条件以外「普通の土と酸性の土とアルカリ性の土での発芽」,「去年のカボチャのツルの下での発芽」,「種の表面をおおっていたうすい皮を入れた水での発芽」など条件を変えて観察してカボチャの発芽が変わるのかどうかを調べた。

 また,他の植物でも同じなのか調べるためにアブラナ科,キク科の発芽についても同じ条件で調べた。

 

 

3.オシロイバナの赤色の出現について パート2 トランスポゾン

 千葉市立小中台中学校 2年 高橋 柚菜

 

 昨年,オシロイバナの赤色の出現について画像カラー成分分析で花の赤色と白色の出現割合を出した。研究の成果を千葉市立千葉高等学校 CCSS Fairに参加して研究発表した際に,講師の先生からトランスポゾンについて話があり、本年度はその視点で研究を進めた。
 昨年観察をして取った種を植え、第二世代のオシロイバナの株ごとの花の色についての特性を調べた。その株の中に茎の赤い苗があり、何色の花を多く咲かせるオシロイバナになるのか調べ、さらにその赤い茎の株の種を取って植え、第三世代の茎の色について調べた。

 

 

4.我が校にビオトープを!!

 八千代市立萱田中学校 1年 佐々原 智也

 

 今回の発表テーマは「我が校にビオトープを」です。私は自然が大好きです。そして、この国に大切な自然が少しでもあって欲しいと願ってやまない一人でもあります。しかし、私が住んでいる八千代市も宅地化が進み、貴重な湿地や里山が失われつつあります。都市では破壊、田舎では放置状態が続いています。だから我が校に自然と人が融合した場所、ビオトープを作りたいと思ったのです。作るメリットは三つあります。一つ目は土、植物、昆虫に触れて自然に親しみを覚える事。二つ目に自然を守ろうという責任感が生まれる事。三つ目は、そこで育てた食物を食べることで恵みに感謝することです。

 今は、数匹のコイとメダカがいる水槽の「アトリウム」をビオトープに大改造しようと考えています。具体的にどのような改造をするのかは、発表までのお楽しみです。ぜひお聞きください。

 

 

5.ダンゴムシのジグザグ歩行に関する研究

 千葉市立緑町中学校 1年 佐藤 照真

 

 本研究では、コンビニエンスストアでの人の行動パターンの観察から多くの人が店内を反時計回りに歩く傾向を見つけたことをきっかけに、動物の走性をテーマとして、研究を行った。ダンゴムシやワラジムシ、メダカなどの動物を対象に、迷路内の動物の移動観察を繰り返し行うなどの基礎研究を行った。基礎研究を通して、数種類の節足動物において、動物の交替性転向反応を確認した。発展研究では、ダンゴムシに対象を限定して、迷路の角度の違いや触覚の有無など、条件を整理して実験したことで、環境などが走性に与える影響を明らかにした。
 本研究では、実験データの量もさることながら、実験結果をグラフや表を用いて丁寧に分析した。その結果、ダンゴムシの行動のパターン化が成功した。

 

 

6.小さくてもあきらめない植物たち ~矮化という戦術~

 千葉市立緑町中学校 2年 小橋 里菜

 

 本研究では、道端のコンクリートのすき間でもたくましく育つ植物の成長に疑問をもち、矮化という現象を調査した。矮化とは、生物が一般的な大きさよりも小形のまま成熟する現象である。この現象が起きる条件について、コミカンソウなどの雑草と身近な野菜を比較する観察、実験などを繰り返し行った結果、何度も踏まれるなどの強い刺激を与えると植物が矮化することを明らかにした。

 さらに、矮化した植物の観察結果から、矮化することで葉に厚みが出て表面に凸凹ができることや茎よりも葉の方が矮化する刺激に反応することを発見した。このように、本研究では、矮化に関係する条件を整理して、観察、実験を繰り返し行うことで、植物が矮化する条件と矮化による変化の特徴をまとめることができた。

 

 

7.市川学園で採取したスズメバチの巣について
 市川学園 生物部 1年 渡辺 博彰・牧野 陽真・清水 康輔・柳田 紗良

 

 多くの人に恐れられているスズメバチについての知識を深めることを目的として、2023年9月22日に千葉県市川市にある市川学園の校内にて採取したコガタスズメバチの巣について調べた。この巣はコガタスズメバチの巣の中では平均的な巣であった(約20cm)。働きバチ51匹、雄バチ105匹、現女王1匹、新女王と思われる個体数匹の計146匹が確認できた。働きバチの数が少なく感じた(一般的には50~100)が、駆除時に殲滅された個体もあり、時期などを考えるとこの数でも妥当かと考えられる。また、雄バチが異様に多いのは、もうすぐ行われる結婚飛行に備えたものと推測される。同時期に千葉県野田市大殿井にてフタモンアシナガバチの巣も採集した。この巣の育房数は66個と、最大500個程度の育房を持つ同種の中でも小型の巣と考えられ、スズメバチとの比較検討を行った。
 今年は採取できた巣の数が少ないため、来年以降も採取をし続け、今回できなかった幼虫の令数ごとに分けるなども行いたい。 

 

 

8.セミと植物の関係について

 市川学園 生物部 2年 遠山 敬梧・篠田 蒼士・高野 ひなた

 

 市川市のセミの生態の調査を目的に、市川学園でセミの抜け殻の採集を行った。昨年は、校内における抜け殻の種類別の採集数や形状の比較検討を行った。今年は7月~8月にかけて抜け殻を採集し、羽化したセミが付いていた植物の種類と抜け殻の採集数を記録した。アブラゼミ、やミンミンゼミ、クマゼミは気温が最も高温になった7月下旬に多く採集でき、8月からはツクツクボウシも採集できた。セミが羽化に利用していた植物はアカシデ、カツラ、トウネズミモチが多かったが、セミの種類による差はほとんどなかった。これらの植物は校内での本数が多く、葉の枚数も比較的多いため、セミの羽化に利用されやすいことが考えられた。また、アカシデやカツラは葉が小さくざらついているため、羽化の足場として安定しやすいことが考えられた。
 昨年とのセミの抜け殻の採集数を比較したところ、アブラゼミとクマゼミが増え、ミンミンゼミやツクツクボウシ、ヒグラシは減少していた。採集期間中の市川市では15日以上の猛暑日が続くだけでなく、地球温暖化の影響によって、セミの種類や発生時期が変動したものと考えられる。今後は気温の変動と羽化の時期との関連性などを調べていきたい。



 

 

9.カナヘビのかんさつ日記 パート2
 千葉市立桜木小学校 2年 浜本 佳吾


 

 1年生の5月にカナヘビを捕まえてから、カナヘビに興味をもち、研究を始めました。4匹のカナヘビを飼育するうちに、個体によって好むエサ(バッタやクモ)が違うことがわかりました。
 昨年の9月からは、好むエサの違いをより詳しく調べたり、バスキングライトを使用せずにカナヘビを越冬させる方法、カナヘビの脱皮回数やなつき具合、たまごを孵化させるためにはどうしたらよいかについて調べたりしました。冬場の活動の様子や卵を産んだ日については、その日の気温や天気からそれぞれの特徴を見つけようとしました。
 研究を通して、越冬させるためには水分や温度管理が大切だということ、カナヘビの生育度によって脱皮の頻度や卵を産む間隔が変わること、個体によって好むエサやなつき具合が違うことがわかりました。卵の孵化はあと少しのところで失敗してしまったので、これからは卵が孵化する条件について調べていきたいです。


 

 

10.ダンゴムシの触角と目の役割

 千葉県立市原八幡高等学校 理科部 1年 東 遥登・飯塚 大智

 

 私達は、ダンゴムシの動きを観察していく中でダンゴムシは移動する際、常に触角が動いていることに疑問を持ち、ダンゴムシにおける触角と目の役割を調べることにした。
 まず、ダンゴムシの実験するために、ダンゴムシが長く生存できる環境を調べることにした。そのためにいくつかのグループを作り、長期生存させることができる環境を調べ、生存可能な環境が分かった後に実験を開始した。実験方法は、16匹のダンゴムシを採取し、何もしないグループ、触角を切るグループ、目をペンで塗りつぶすグループ、触角を切り目を塗りつぶすグループの4グループに分けて行動観察を行う。この実験を通して、より長期的に生存させることができる環境を知るとともに、ダンゴムシにおける触角と目の役割を明らかにしたい。

11.昆虫の食性調査

 千葉県立市原八幡高等学校 理科部 2年 中山 智稔・薮下 建営

 

 アリが行列を作り虫の死体に群がっているのを見て、昆虫はどのように食べたいものを区別しているのか疑問に思ったので調べることにした。方法は、昆虫罠を土壌や木の幹、水辺など様々な環境に設置し、罠に入れた食材によって入った昆虫の種類を記録する。はじめに、罠が各環境で調査を行うのに最適な形をしているのか、正確な結果を得られるように作動するかの試行も兼ねて調査を行った。また罠に入れる食材はフルーツに絞った。   

 現在は、各環境に対応した罠の構造を考えつつ、市原八幡高校内の中庭と、母校である市原市立辰巳台西小学校の協力を得て同校の校庭にある森で調査を行っている。

 今後は、罠に入った昆虫が食材のどんな要素につられて入ったのかを詳しく調べるとともに、調査範囲を水中まで拡大したいと考えている。また、研究を始める動機にもなったアリを中心にした食性調査も行っていきたいと考えている。

 

 

12.糞中コルチゾール値を用いたウサギのストレス評価 

 千葉市立千葉高等学校 生物部 2年 上野 春花・萩野 奏大

 

 近年、動物園の飼育下にある動物にかかるストレスを一層軽減しようとする意識が広まっており、ストレス軽減のために様々な策が取られている。それと並行して、適切にストレスの評価を行う必要もある。生物はストレスが過剰であると、特定の異常行動が観察されるが、軽微なストレスの場合は行動が現れにくい。その軽微なストレスは血液や唾液の成分で評価をすることがある。哺乳類ではコルチゾールがその指標とされているものが多いが、ウサギでは評価指標として他の物質と議論が分かれている。また、血液や唾液を採取する際にもストレスがかかることも指摘されている。コルチゾールはストレスを受けると体内で分泌され、やがて糞にも含まれる。このことから、ウサギの糞中コルチゾール濃度を測定することで、採取の障壁がなくストレス評価ができるかを検証することを目的とした。

 

 

13生物の活動時間帯の秘密について

千葉市立緑が丘中学校 1年 齊藤 青葉

 夜間に昆虫採集に行った際、昆虫によって活動する時間帯が違い、昼行性、夜行性があることに気付いた。昆虫が何を手掛かりに夜と昼を見分けているか、生活時間帯を変えることができるのか、明るさの条件を変えて生き物を観察し、生き物の生活時間帯と明るさの関係を追究することを目的とした。

【方法】

 実験1:昼と夜の明るさを逆にして、クワガタムシが活動する様子を調べる。

 実験2:昼と夜の明るさを逆にして、トンボが活動する様子を調べる。

 実験3:昼と夜の明るさを逆にして、チョウが活動する様子を調べる。

 実験4:4時間ごとに明るさを変えて、クワガタムシが活動する様子を調べる。人と明るさの関係について調べる。

【結果】

 実験1:クワガタムシは、明るいと昼間だと感じ、暗いと夜だと感じて活動していた。  明るさを変えることで、生活時間帯を変えることができ、明るさにより昼夜を見分けていた。

 実験2:トンボは、狭い飼育ケースでの観察が難しく、生活時間帯を変えるところまでは実証できなかった。しかし、トンボを捕まえる時間帯を考えると、明るさと活動時間帯は関係していた。

 実験3:チョウは、明るくすると羽を広げて動き、暗くすると羽を閉じて寝ていたことから、明るさによって昼夜を見分けていた。

 実験4:クワガタムシは、睡眠時間に関係なく、周囲が暗くなると活動を始めた。「時刻」や「朝」「夕方」という概念はなく、活動しやすい時間帯(周囲が暗くなったとき)に活動した。

 これらの実験から、明るさによって生活時間帯が決まっていることが分かった。活動する時間帯は、外敵から狙われにくいため夜間、色を識別しているため昼間などの理由があると考える。生き物は、周囲の環境が「明るい」「暗い」ということだけで判断し活動していたが、人間は昼夜逆転の生活をしていると体に変調を起こすことも分かり、自分自身の生活時間帯を考える機会となった。

 

 

14アマモ復活への挑戦Ⅱ~結成!チームあわわ~

 千葉県立安房高等学校 生物部 1年 鈴木 陽仁・石井 南十 2年 鈴木 雄大・山﨑 琉海

 

 千葉県館山市沖ノ島のアマモ場は2014年頃から減少し、現在は消失した。アマモ場の再生を目指し海辺の鑑定団と協力して活動を続けているうちに、地域の方々や行政、事業者の方々など様々な仲間ができた。安房地域の全員で光合成によってアマモが水中に出す美しい酸素のアワを再び見られるようにするため「チームあわわ」を結成。アマモ復活という目標に向かい力を合わせ取り組んでいる。

1. 魚種調査

 アマモ場が地域の生態系に与える影響を調べるため、アマモのある地点(勝浦興津、木更津盤洲干潟)とアマモがない地点(館山沖ノ島)でそれぞれ、地引き網・たも網による魚種調査、環境DNAによる魚種調査を行った。その結果アマモ場には甲殻類が多く、また回遊しない魚が多い傾向が見られた。

2. アマモ発芽・栽培実験および再生場所の調査培地

 3種で発芽および栽培を行った結果、ヘドロが最も発芽や成長が早いことが分かった。また、沖ノ島への植え付けが5年間上手くいっていない。この2点から、アマモ栽培に適した場所を館山湾中心に探し始めた。

 

 

15安房地域におけるサシバの生息状況調査

 千葉県立安房高等学校 生物部 2年 小澤 咲希 1年 安田 朔弥・瀧口 優衣

 

 サシバは中型の猛禽類で、主にヘビやトカゲといった小動物や昆虫類を獲物とする。このことから里山環境に依存した生態を持つ生物として第一学習社の生物基礎の教科書にも掲載されており、里山環境の指標生物になる。

 私たちは館山市内にサシバがいることを知り、その生息状況に興味を持った。文献を調べたが、千葉県南部安房地域でサシバの生息調査が行われた例は確認できなかった。そこで、私たちは猛禽類調査の専門家である沖浩志氏とともに安房地域におけるサシバの生息状況の調査・記録を行い、同地域の里山環境がどの程度残されているのか調べることにした。

 今回の調査は22地点で行い、そのうち15か所でサシバの姿、もしくはサシバが生息している痕跡(鳴き声など)を確認できた。このことは、安房地域にはまだ里山環境が多く残されている可能性を示唆している。今後も調査を続け、安房地域のサシバの生息状況および、里山環境の状況をモニターしていきたい。

 

 

16特定外来生物ナガエツルノゲイトウの柏市大堀川への侵入状況について

 千葉県立柏中央高等学校 科学部 2年 小松 怜太郎

 

 ナガエツルノゲイトウは、各地の小河川や水田、池、沼などで繁殖が拡大している特定外来植物である。植物体の一部(茎や根など)から再生ができるため駆除が困難な植物としても知られている。千葉県内では手賀沼や印旛沼およびその支流での繁殖が報告されている。本校近くにあり、手賀沼にそそぐ大堀川ではこれまで河口部での繁殖がみられたものの、中上流域ではほとんど生育を見なかった。しかしごく最近、川面や土手などで見られるようになってきた。そこで、ナガエツルノゲイトウ及び同じように特別外来生物で増加傾向にあるオオバナミズキンバイの大堀川での分布調査を行った。そして、大堀川の川幅と流速、砂泥の質、周辺に生育する植物などの状況を調べ、大堀川でのナガエツルノゲイトウの分布状況とそれらの要因との関係、分布拡大の可能性が高い場所について考察した。また、刈り取り駆除がされた場所のその後の経過についても調べ、駆除の効果についても考察した。

 

各位

千葉県生物学会会長 西田治文

千葉県生物学会自然活動普及部

 

2023年度 第76回 児童生徒生物研究発表大会の開催のお知らせ

 

各位におかれましてはご健勝にてお過ごしのことと存じます。千葉県生物学会主催の児童生徒生物研究発表大会が今年度で76回を迎えることになりました。新型コロナの流行で、学会のホームページ上で開催してきましたが、今回は対面形式の発表会に致します。研究活動の成果を是非発表していただきたいと思いす、多数の方のご参加をお待ち致しております。

 

 

1. 日時:2023年11月19日(日曜日)午前9時~午後4時30分

 

2. 会場:千葉県立中央博物館 講堂(千葉市中央区)

 

3. 主催:千葉県生物学会

 

4. 後援:千葉県教育委員会・千葉市教育委員会(申請中)

 

5. 発表内容:生物に関するもの、生物を材料に研究したものであれば結構です。

       内容のレベルは問いません。未完成のものでも構いません。

 

6. 発表の申し込み:2023年10月10日(火曜日)までに次の①~⑥のことを、7の申し込み先にご連絡ください。

①発表の題名、②発表者(共同の場合は全員を記入、名前にふりがなを付記ください)、申し込み時の題名・発表者の順番に変更のないようにお願い致します(プログラムや賞状等作成のため)。

③学校名・部活の場合は部名称・学年

④連絡先(住所・電話番号・FAX・Eメールなど)

⑤発表の内容要旨(400字程度、当日会場で発表要旨集を配布します。また、後日、学会誌にも要旨と講評を載せます。)

⑥発表に使用される視聴覚機材(当日の申し出では9-③以外は準備できない場合がありますので、申し込み時にご連絡ください)。

 

7. 参加申し込み先:鶴岡邦雄 メール ar3k-trok <at> asahi-net.or.jp

 参加申し込みは上記のメールで行います。誤送信や申込み漏れを防止するために、申し込みされたことを鶴岡邦雄にご連絡ください。携帯番号 080-1173-9783 FAX 0475-35-3159

 

8. 発表の受付について

 千葉県内にある学校、または千葉県内に住居している児童生徒を優先して受付します。

千葉県以外の方は仮受付をし、発表数に余裕がある場合に発表していただきます。発表の可否は、締め切り後に千葉県生物学会自然観察普及部から連絡致します。

 

9.①発表時間は発表数により調整致します。質問を含めて約15分を予定しています。11月にプログラムと発表者への諸連絡を送りますので、ご確認ください。

②当日、配布資料がある場合は100部ほど準備いただき、会場入口の机上に置いてください。

③会場で準備する視聴覚機材は、液晶プロジェクター、パワーポイント搭載のWindows2010PCを準備します。パワーポイントを使用される方は、不具合の防止のためノートパソコンを当日持参くださると無難です。また、Macや動画等の特殊なソフトを使用される方は持参ください。

④参加申し込みに関する質問等は申し込み先の鶴岡に電話かFAXでお願い致します。

⑤発表を視聴される方の申し込みは不要です。直接、会場へお越しください。発表会場への入場料は無料です。なお、博物館の展示室の見学には入場料が必要です。 

⑥感染症の影響で、発表大会の形式を変えて開催する場合や止む無く中止することがあります。当学会のホームページに載せますのでご覧ください。

 

以上

『千葉県いきものかんさつガイド』表紙
2018年2月刊行の千葉県生物学会70周年記念出版『千葉県いきもの かんさつガイド』(たけしま出版)の表紙